【ラストクルーズ(HBOドキュメンタリ)感想】クルーズ船コロナ集団感染の実録映像がエグかった件

東京で4回目となる緊急事態宣言が出される中、オリンピックの開催が近づいてきた今日この頃。コロナの脅威がまだ世間に認知されていなかった2020年頭、日本で大きなニュースとなった事柄に「ダイアモンド・プリンス号によるクルーズ船コロナ集団感染」がありました。

  • 乗客:2666人
  • 乗員:1045人
  • 感染者数:712人
  • 死者:13人

よく映像が残ってたなぁ~と感心すると同時に、コロナの脅威を知った今、改めて映像を見るとヤバすぎて少し震えてしまう当時の船内の映像をもとに作られたドキュメンタリー「ラスト・クルーズ」がHBOにて配信がスタート。※U-NEXTにて独占配信中

色々と考えさせられることの多い映像でして、見ておく価値のある作品だなぁと思いました。感想等々。

ラストクルーズ感想

ダイヤモンド・プリンセス号での隔離生活が始まるまで

  • 2020年1月20日に横浜港を出発したDP号
  • 1月25日に香港にて下船した乗客が1月30日に発熱
  • 2月1日に新型コロナウイルス陽性であることが確認される
  • 2月3日に横浜港に帰港
  • 日本政府は乗員乗客の下船を許可しなかった

中国の武漢にて発生した肺炎が新型ウイルスのものであるか調査中との報告がWHOより初めて発表されたのが横浜港を出発した同日1月20日のこと。この時点で6名の人が犠牲となり、人から人へと感染する可能性が示唆されていたが、他の地域での報告はまだ4件確認されていた程度であった。

そして中国以外で集団感染が起きた最初のケースがDP号による集団感染である。

映像では…出発したばかりの船内での華やかなパーティーのような映像が流れるが、一変して地獄へと変わっていくことになる。

私の子供の頃はノストラダムスの大予言なんてものが存在し、公害問題等を抱えた当時の日本ではその予言書がベストセラーに。1999年7月に人類が滅亡する…なんて言われていましたが、コロナを当てられなかったところを見るとまだまだ彼も予言者としては二流だったってことでしょうか。

日本人の感覚でいくと2020年にもなって世界規模でのウイルス感染が起こるなんてのは想像すらできなかったと思います。船内で最初のコロナ感染者が出たDP号の乗員乗客もまだまだ半信半疑。よく分からないけど手洗いくらいはしておこうといった感じに見て取れました。

そしてそこから…
突然の隔離生活。

乗客と乗員の格差

コロナの恐怖もありますが…
見ていてエグいと感じたもう一つの部分が乗員と乗客の格差的な部分。

横浜港にて下船が許可されず、隔離生活が始まったDP号。

2,500人を超える乗客のお世話は乗組員の方々が担当することになるわけですが、最初の内は仕事だということで働く彼らにも次第に疲弊。乗客は隔離されている一方で、乗組員の方は何の保証もないままに仕事をこなすしかない状況。

乗組員の多くはいわゆる開発途上国(発展途上国)と呼ばれる国から出稼ぎに来ている方で、密を避けることができず、なぜ自分たちだけが隔離生活の中でも特にリスクを負って動かなければいけないのか?…といった不安や苛立ちを感じる様が伝わってきます。

体調が悪くとも報告していない乗員もおり、そういったところからも感染がどんどん拡大。乗員はリスクを負わされている状況下にあり、新人の乗員だった人は文句をいうこともできず、感染の報告を聞くたびに泣いていたそうです。

また同室に感染者がいても同じ部屋で生活することを余儀なくされており、契約では禁止されていたがメディアに出て助けを求める乗員も現れ始めた。

乗客は乗客で、次々と増える感染者の報告は受けるものの、検査を受けられる人間とそうでない人に分けられており、自身が既に感染しているかもしれないという不安が募る。人を乗せたまま船を海に沈める…といった噂まで流れており恐怖したそうです。
今でこそ知られていますが、コロナ感染者の中には無症状の人も多く、DP号における感染者の約3分の1が無症状で、そういったコロナの特徴も感染を拡大させた要因になったそうです。

軍用機による帰国

DP号が横浜港を出発してから約1か月。

アメリカのケースでは軍用機を利用しての帰国になったのですが、軍用機の一部スペースに感染者用の隔離スペースを設け、感染者と非感染者が同じ飛行機で帰国。見たこともない機内の様子が印象的でした。

また、政府の対応が遅かったインドネシア出身の乗員たちも乗客が船を降りたタイミングで世界に向けて助けてもらえるように発信。最後に船を降りたのは彼らでした。

ものすごく考えさせられることの多かったドキュメンタリーでした。U-NEXT利用者の方はぜひ目を通してほしいなぁ~と思った次第です。

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